地域での暮らしを支える

平成16年9月に精神保健福祉の改革ビジョン「入院医療中心から地域生活中心へ」が公表され、精神障がい者が地域で安心して暮らせる体制を整備するなどの方針がうたわれました。

平成17年10月には障害者自立支援法が成立し、身体、知的、精神の3障がいが一元化されました。

更に、平成19年度から愛知県は、名古屋市内1か所を含む県内4か所の指定相談支援事業所等に委託し、愛知県障害者社会復帰促進(地域生活支援)事業を実施しています。

平成20年度からは名古屋市も精神障害者地域生活定着支援事業として、精神障がい者生活支援センターに委託し、入院中の精神障がい者の地域生活への移行を促進するための支援を予定しており、また同年8月からは、精神障害者保健福祉手帳1級所持者に加え、2級の方も障害者医療費助成の対象へ拡充を予定しています。

入院医療から地域生活へ向けて、さまざまな支援の整備が進められている中で、私がいつも気にかかるのは当事者の方の気持ちです。
退院して、自由に生活したい、という希望はあっても、いざ話が現実的になってくると、もう何十年も病院での生活が続いていたので、地域での暮らしに対する不安は並大抵のものではないと思います。
患者さんは心が繊細で、他人に逆らえない人が多いように思います。
また、不安を抱えていても、それを口に出して相談できずに抱え込んでしまう人も多いように思います。
私たち臨床医もこれから、地域での生活を支援していくことになりますが、その際、まずはご本人の気持ちに寄り添いながら、さまざまな関係機関と連携を取り合いながら、無理のない支援を続けて行きたいと思います。


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